普段お店などであまり見かけないけど、特定の地域では売っている野菜や山菜は結構ありますよね。
そんな山菜の1つに
「行者ニンニク」
があります。
正確にはニンニクではないのですが、ニンニクと同じユリ科ネギ属の多年草です。
名前は「行者が食べるニンニク」というところからついています。
今回はこの行者ニンニクの旬の時期や栄養、食べ方などについて紹介します。
行者ニンニクってどんな山菜?旬の時期について
行者ニンニクは自生もしているのですが、分布としては、
近畿以北から北海道にかけてとなっています。
ただ、東北より南の地域では高山でしか見かけません。
行者ニンニクは、初夏に葱坊主と同じような花を咲かせて、それからできる種と株から出てくる新芽で増えていきます。
行者ニンニクは、成長が遅く、種を蒔いてから芽が地表に出るまで2年かかります。
そこから1年間は、ひょろひょろの茎に葉が1枚の状態で、
3年目から4年目になってようやく葉が2枚以上となり、
5年目になってようやく茎が伸びて花が咲き種がつき始めます。
5年目になると株の太さが鉛筆のぐらいになり、収穫できるようになります。
店舗などでも販売されていることもありますが、天然ものは減ってきているため、
たいていは栽培されたもののようです。
行者にんにくは、北海道の山菜で、たいていは北海道産です。
ただ、最近では東北や長野県からも出荷されるようになりました。
この行者ニンニクですが、出荷はハウス栽培のものが1月頃から、
天然物としては3月ぐらいから出荷されます。
食べごろの旬の時期としては、4月中旬から5月いっぱいとなっています。
行者ニンニクの栄養と効果は?
行者ニンニクはニンニクと同様に、多くの栄養素が含まれています。
まずは「アリシン」です。
ニンニクの成分として有名ですが、行者ニンニクにはニンニクよりも多くアリシンが含まれています。
このアリシンは、ビタミンB1の吸収を助け、疲労回復や滋養強壮に効果があるとされています。
また、スコルジニンという成分も含まれていて、疲労回復、新陳代謝促進作用があると言われています。
これが、ニンニクは元気の源と言われている理由です。
アリシンには、他にも、免疫力を高め、がんの予防にも効果があると言われています。
また、血行促進により、冷え性や動脈効果、血栓の予防にも効果的とされています。
また、強い殺菌作用も特徴の1つです。
他の栄養素としては、「βカロテン」があります。
行者ニンニクの葉の部分に多くのβ-タカロテンが含まれます。
βカロテンには、抗発ガン作用や免疫賦活作用などがありますが、他にも、
体内でビタミンAに変換されるので、髪の健康維持、視力維持、粘膜や皮膚の健康維持、呼吸器系統を守る働きがあるとされています。
また、「ビタミンK」も豊富に含まれています。
ビタミンKには、カルシウムを骨に定着させる働きなどがあり、骨を丈夫にするのに役立ちます。
行者ニンニクの選び方
行者ニンニクの選び方ですが、
行者ニンニクは葉が開いていくと香りがうすくなってきます。
そのため、葉が開いていないものがいいでしょう。
また、株がしっかりと太っているものを選びましょう。
他にも、葉の先までみずみずしく張りがあるもの、根元の切り口が新しいものを選びます。
鮮度が落ちたものは、切り口が溶けてずるけたような感じになります。
行者ニンニクの保存方法
行者ニンニクを保存する場合は、
乾燥しないように、根元を湿らせたキッチンペーパーで包んでから袋に入れて冷蔵庫に立てた状態で保存します。
冷凍保存をする場合は、生のままよりは、さっと熱湯にくぐらせてから冷凍したほうがいいでしょう。
使う場合は冷凍したまま刻んだりして使います。
さらに長期保存する場合は、醤油漬けがいいでしょう。
北海道では一般的な保存方法で、行者ニンニクを丸ごと、または適当な長さに切ったものをさっと熱湯にくぐらせて、
すぐに冷水にいれてからよく水気をふき取り、蓋つきの密封できるビンなどに入れます。
そこに行者ニンニクが完全に浸るように醤油を注いでから密封して保存します。
保存できる期間は1年くらいです。
行者にんにくの美味しい食べ方・調理方法について
行者ニンニクは、ビタミンB1と相性がよく、
ビタミンB1と合わせると匂いが出ないうえ、疲労回復効果も高くなります。
そのため、ビタミンB1の多い豚肉と調理するのが相性のいい調理方法となります。
匂いが気になるのなら、一度冷凍させてから使うと匂いが抑えられます。
また、行者ニンニクには「赤い皮」がついていますが、ここを使うと匂いがきつくなりますので、
赤い皮を取り除いてから使うと匂いが抑えられます。
他の調理方法としては、保存方法でも書いた醤油漬けが定番です。
また、豚肉と合わせた炒め物、天ぷらなども美味しく食べられます。
また、さっと茹でてから冷水にとって、おひたしや和え物にしたりしても美味しく食べられます。
匂いが気にならないのなら、生のまま食べる方法もあります。
生のままで味噌をつけたりして食べます。
ただし、生のままで食べ過ぎると胃痛になることがあるので、注意してください。